ベジタリアンの医者

今日イーク表参道の外来に、『高尾先生希望』の患者さんがいらっしゃいました。今日お越しいただく方はすべて私が拝診いたしますので、あえて高尾希望と予約一覧に記載されることはまずないのですが。

診察室に入ってらした方に、どこかでお会いしたか尋ねてみました。すると、会ったことはなく、インターネットで私を見つけた とのこと。スポーツ関連でそういった経緯をたどる方はいらっしゃいますので、今回もスポーツ系かな…と思いながらお話しを伺っていました。
すると、彼女は去年の秋ごろwebで、牛がお肉になっていくまでの衝撃的な映像を見てたいへんなショックを受けたそうで、お肉や魚を摂らない食生活にシフトしたそうです。そのころからぱたり生理がこなくなったそうで、一度近所の婦人科に相談はしてみたけれど思うような解決策は得られず、インターネットで私を見つけ出したそうです。

月経がこないことに関するお話しをすることはもちろんなのですが、今日はせっかくなので私の食生活についてのお話しをちょっとだけさせていただきました。お肉魚卵牛乳を摂らない生活では、相当量を摂っていない限りおなかが空くタイミングは早いです。私が今朝起きてから摂ったものを挙げてみました。

起床後 豆乳スムージー 最近のお気に入り
出勤後・勤務スタート前 玄米少々+なめことお麩とたまねぎのお味噌汁
11時ごろ 玄米+なめことお麩とたまねぎのお味噌汁
13時ごろ 玄米+きのこ数種類とたまねぎとコーンの炒め物
17時ごろ 生湯葉+ポン酢

これくらい頻繁になにかをいただいています。分食、補食、いろいろ言いかたはあるかもしれませんが、おなかが空いたらなにかをいただくようにしています。職場の環境によってはそんな一日の過ごし方は難しい方も多いとは思いますが、ベジタリアンで生活強度がそこそこある方だとこれくらいの補食の頻度になるのではないかと思います。

あと、決してベジタリアンやveganが超おすすめなわけでもなく、お肉や魚を食べることが悪いことでもなんでもないこと。本人が食べたいと思ったものをいただくことが一番であること。食べてカラダの調子と相談してみて、調子悪くなるようなものは減らしていけばいいし、摂って調子がいいものは積極的に摂ればいい。ただそれだけのこと。
ただ、なんにしても極端に、とか、急激に、はおすすめできないこと。

肝心の治療についてもお話しさせていただきました。がんなどの悪性疾患ではなく良性でかつ緊急性のないケースにおいて、私たち医者が提供する情報とは 診断、治療法の選択肢、なかでも本人に一番合うと思われる方法はどれなのかをお伝えすること。そしてそれぞれの治療の見込み。
押しつけの治療法の選択ではなく、あくまで患者さんに主体的に選択してもらうこと。

ベジタリアンの医者って、きっと探せば全国にいらっしゃるでしょうし、yogaが大好きな医者もいます。その中で私を見つけて予約して来てくださったその気持ちがうれしいです。

話しを聞いてもらえてよかった。今日は本当に来てよかった。そう言って帰っていかれました。私は医療のプロフェッショナルですが、それ以外のことは私のライフスタイルなだけであって、プロではありません。でも、婦人科医としての知識だけでなく私の人そのものを活用していただけること、これほどうれしいことはありません。

人対人のお仕事をさせていただいていて、本当によかったなと思う出来事でした。

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