手術から5年
今日はイーク表参道の外来に、慈恵時代からの患者さんが多く来院されました。もちろん患者さんどうしが一緒に来たわけではなく、たまたまの積み重ねでこうなったわけですが、予約一覧を眺めていて、名前を拝見しただけでその方がどんな方なのかわかる、それってしあわせなことだなぁと思ったり。
今日いらした方の中に、卵巣がんの手術から5年を経過した方がいらっしゃいました。若くして卵巣がんが見つかり手術を受け、幸いなことに転移などはなかったものの化学療法まできちんと終了し、定期的に経過をみてきた方です。
現在も再発の疑いなく元気に仕事をし、楽しく旅行にも行き、人生を謳歌していらっしゃいます。
現在半年に一度のチェックをしているのですが、その方から生命保険に入るから書類を書いてほしい旨、お願いされました。あまりその筋に詳しくはないのですが、がんの手術から再発なく5年が経過すると、新しい保険にも入れるのだとうれしそうに話してくれました。
手術から5年。一緒に経過をみてこられたことは本当に喜ばしい限りです。その間、私がずっと慈恵に勤務していたのであればあたりまえのことなのかもしれませんが、彼女は3か所の病院を一緒に渡り歩いてくれました。私がまとめた腫瘍マーカーの経過表とともに。
ただ病院に行く ということではなく、そこに○○先生がいるから行く という意味のちがい。
私が患者の立場でも、同じことを考えるでしょう。歯医者さんは同じ先生にかかりつづけていますし。他の職業でも、同じことはありえます。
そのヨガスタジオで○○先生が教えてくれるから行く
そのスポーツクラブに○○インストラクターがいるから行く
その美容院で○○さんが切ってくれるから行く
仕事をしている以上、そういう人になれたらいいなぁといつも思ってきました。
もしかすると患者さんたちのおかげで、ちょっとだけそういう人にならせていただけているのかもしれません。心からありがたいことです。
手術から5年。
当の患者さんにとってはとても大きな意味のあるひとつの節目ですし、私にとってもたいへん感慨深い一日となりました。