本当に大切にしなきゃいけないのは誰なのか

先日、行きつけのレストランに行きました。月に2回、多けりゃ毎週くらいのペースでお世話になっていたレストランでしたが、ずっとずっとフロアで担当してくれていた方が店頭に出なくなってしまってから約9か月ぶりとなる訪問でした。私にとって、担当してくれていた方がいなくなってしまう ということはそういうことなんです。パタッと行かなくなる。というより、行けなくなる。
もちろん足繁く通うあいだに、その方以外のスタッフとも顔見知りになりますし、多くのスタッフに顧客としてよい対応をしていただいてきました。だったらその方がいなくなっても大丈夫でしょ、と思うでしょ。そこは残念ながら違うんです。願っているようなサービスは受けられないだろうと思うから、行けなくなるんです。

私がサービス業として医療というサービスを提供する側にいる という意識をとても強く持って過ごしているからかもしれませんが、自分がサービスを受ける側の立場に立ったとき、かなり冷静な目で提供されるサービスを観察している人間です。そんな私だからこそ感じてしまったことかもしれませんが、思いを綴ります。

私たちがまあまあのお値段のレストランに誰かと行くとき、2人であっても多人数であっても、誰かがホストとなるわけです。このお店に行こう!と誰かが決めるわけです。決めたその人にとって、自分が連れていく方たちへ良いサービスをしてほしい、そう願うのは当然のこと。たとえば私にとって行きつけのお店であったとしても、私に向かって思いっきり良いサービスをするのではなく、私が連れていく誰かにも私へのサービスと同等 もしくは 私によりも良いサービスをしてほしい。ということ。

私たちが自分の好きなお店に誰かを連れていく、ということは、連れていかれる誰かは連れていく私たちにとって大切な人であるはず。だからこそ連れて行った私たちとしては、連れて行った私たち自身もある意味店側に立ちたい くらいの思いで、連れていった誰かに良いサービスを感じてほしいわけです。おもてなししたいわけです。

お店にとって大事な客、常連さん、つまり顧客に良いサービスができる というのは当たり前。その上で本当に大切にしなきゃいけないのは誰なのかを考え、顧客がお連れした人 その人に喜んでもらえるサービスをする。それが本当のプロの接客であるように思います。いかがでしょう?
私がお世話になってきたその方は、あたりまえのこととしてそれができていてくれました。だからいつも安心してお店に伺えたし、安心してどなたかをお連れすることができました。その方がいなくなった今、これまであたりまえのようにしてもらえていたそのサービスが受けられないんじゃないか、それが不安で行けなくなっていました。

今回どうだったかは書きません。あらためて思ったことは、その方のサービスはなかなか他の人には真似できない心づかいだったのだということ。そして現場を離れ、俯瞰的に見る立場になられた今、彼女のようなサービスマンシップを持つスタッフを育てていただきたいということ。そんなことを願っています。

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