メンタルサポートはどうあるべきか

お仕事がらみで2人のメンタルサポートのプロとお話しをする機会がありました。

おひとりは医者。
もうおひとりは医者ではないが、それ相応の資格を持つ方。

おひとりめ、医者とはいっても精神科医や心療内科医ではなく心理を専門にやってこられたわけではない方でした。あるきっかけから名前が売れ、今は医者としての仕事よりも講演を主なお仕事になさっているようです。この方のお話しは、医者のお話しとしては珍しいほどエビデンスのないお話しでした。経験からくる考え方のイメージ とでも言いますか、今ではかなり一般的になってきた「マインドフルネスの考え方」をかみいたようなスキーム。もしかすると、私がお聞きした以上のもっと深いお話しがあるのかもしれませんね。さまざまな分野の著名人と交流をお持ちのようで、エビデンスに基づくサポート というよりは、カリスマ性のある人によるサポート といった印象を受けました。

もうおひとりは心理に関する国内の資格はもとより、国際的な資格もお持ちで、海外で使われているメンタルサポートの仕組みを日本でも活かすお仕事をしておられます。私がお聞きしたのはメイヨークリニックのプログラムを用いたサポート法について。印象的だったのは、メンタルサポートには必ずゴール設定が必要で、期限もサポート回数も切る。ゴールまで至らなかったとしても一旦必ず締めて、次のゴール設定をする。そうすることによって、段階的に必ずゴールにたどり着ける、というお話し。医者ではないとはじめ懐疑的だった私も、「うまくいった事例は相性と偶然の産物ではない」 ということを確認でき、この方たちにサポートをお願いしたいと思ったほど。

メンタルサポートは大きく2つに分けられると思っています。
マイナスをゼロにもっていく=たとえば鬱病で出社できなくなってしまった社員をサポートすることによって、復職まで至る。
もうひとつはゼロをプラスにもっていく=よりモチベーションを高めることによってパフォーマンスを上げる。
そのどちらを担うのか、によってもどんな方法を選ぶか は変わってきて当然だと思います。

私はメンタルケアやメンタルサポートを専門としていませんのでどうこう言い切ることはできませんが、私はやはり医者であり科学者ですから、「メンタルサポートの成功は相性と偶然の産物ではない」という言葉に強く魅かれました。もちろん、エビデンスがないものをすべて否定するわけではありません。でも、できることなら「誰が担当したから」「運が良かったから」ではない成果を求めたい。そう思います。

メンタルサポートの世界には現在、日本における”これひとつ”といった国家資格はなく、臨床心理士、精神保健福祉士(国家資格)、産業カウンセラーなどの資格を有する方がメンタルサポートをしている現状があります。それら以外に、資格ビジネスと呼ばれるような形態で認定されるメンタルサポート関連の資格は400を下らないそうです。さらには自分で作った自称の職名も存在しているとのこと。だからこそ、素人である私たちには判断が難しいもの。

もちろん結果がすべて、と言われればそれまでです。上手くいけばそれが最高。別にどんな方法だっていい。でもそこで科学者が考えることは、再現性が高いかどうか、ということ。要は、次に同じスキームでサポートしても上手くいくか、違う誰かがサポートしても上手くいくか。

メンタルサポートはおまじないや占いではないし、そうであってはいけない。以前にお会いしたメンタルサポートのプロがおっしゃっておられました。本当にその通り。どんな方法を選ぶかは自分で決めることですし、その効果判定も、結局は自分ですること。だからこそ、なかなか合う方法に巡りあえず”ドクターショッピング”ならぬ”メンタルサポートショッピング”になってしまう方もいるでしょうし、逆にひとりのサポート提供者にどっぷりになってしまう人も。自分に合う合わないも含め 効果判定をきちんとしつつ、サポートのタイプを選んでいく必要があると感じました。

これからの時代に絶対に必要な分野だからこそ、質の良い方法がより広く認知され、サポートを必要とする多くの人に選ばれていくことを願っています。

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