満員電車に思うこと

ここ何度か、帰宅ラッシュの地下鉄に乗る機会がありました。芝公園近くの職場に勤めていたとき、満員の山手線に乗るのが苦痛で仕方なかった私は、電車に乗るのがどうしてもイヤで、30分かけて自転車通勤していたほど満員電車が苦手です。
もちろん、それを避けてはお仕事できない方もたくさんいらっしゃるでしょうから自転車通勤できた私はラッキーだったわけですが、満員電車に思うことはたくさんあります。

帰宅ラッシュの電車の中を眺めてみます。男性も女性もほんとうに疲れきっています。
運よく座れた方も、イヤホンを耳に、隣の方にもたれかかってしまうほどの爆睡状態だったり、スマホを握りしめたまま落ちていたり。つり革に掴まることができた方は、つり革にまさに釣られるように体重をあずけていたり、自身の足や筋力を使って立っているとは言いがたいような状態。何もつかまることができなかった方は、海流の中漂う海藻のように電車の動きに揺られ、あっちで挟まり、こっちで鞄が引っ張られ、ひたすら時間が過ぎるのを待つ状態。友達の中にはすし詰めの車内で、何度となく痴漢の被害に逢ったという女性もいます。

今、働き盛りの世代にメタボだったり運動不足だったりという問題があることは知られています。会社帰りにスポーツクラブ行けばいいのに。これまで私はそんな単純な思考を持っていました。本人のやる気の問題じゃん、と。

このラッシュアワーの電車の現状を目にして、少しずつ思いが変わってきています。
朝も満員電車にまみれて出勤し、家族のために一日一生懸命働いて帰りもぐったりして帰るサラリーマン。家に優しい奥さんやかわいい子供、思いやりの言葉が待っていればそれは幸い。たいへんな思いをして帰宅したのに奥さんにがみがみ言われ、子供にはソッポを向かれ、なんて家庭であれば気分を上げられるわけはありません。

また、あのぐったりした空間、どんよりとした時間からは間違ってもクリエイティブな新しいひらめきや発想が生まれることは期待できません。満員電車が日本の働き手からやる気や上昇志向を削いでしまっているのではないか、そんな感覚すらおぼえました。

フレックスタイムや時差出勤、裁量労働制など取り入れられた企業も増えてきていると思います。なんでもかんでも9時始業 ではなくてもいいのではないでしょうか。また、勤務地と自宅が近いことはとても貴重なことで、通勤時間も勤務時間のうち、そう感じます。

日本は金融や経済の中心がごく一か所に集中しており、ベットタウンと呼ばれるやや郊外あたりからの通勤を必要とする生活スタイルの方がたいへん多いです。そのため満員電車、ラッシュアワーに伴う問題は解決不可能に近い状況だと思われます。
日本の働き手に生き生き溌剌としたみずみずしさをもう一度取り戻したいのであれば、この満員電車をどうにかして少しでも快適なものに変えていく必要があるのではないでしょうか。

日本らしさ とも言われてしまいそうな『満員電車』問題。日本の経済、景気、社会を先行き明るいものにしていくために、ぜひ皆で考えたい社会問題です。

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