ヨガ業界のこれからを考える

ヨガの業界はパッと見、大きくなっているように見えます。都内では「ヨガスタジオ」もちょこちょこ見ますし、なによりもホットヨガを提供している施設は数多くあります。フリーペーパーなどについているクーポンを使えば、かなり格安にホットヨガの体験をすることもできます。また公民館など公共の施設では、気軽に参加できそうなヨガのクラスが定期的に開催されていますし、本屋さんに行けば、健康やダイエットのコーナーにはヨガに関するお手軽な本が山のように並んでいます。
瞑想やマインド系のものを除いたからだを動かすことメインのヨガにしても、どんどん気負いなく試せるようなヨガが世の中で広まりつつあります。ハンモックを使ったヨガやサーフボードの上でポーズをとるSUPヨガ、歩き続けるようなイメージのウォークをとり入れたヨガ、ケン先生のラジオ体操のようなラジヨガ。インドっぽさや宗教っぽさを排除したフィジカルトレーニングとしてのヨガも盛んです。

現在日本におけるヨガ人口は、多く見積もって300万人。その多くはヨガスタジオではない場所、つまりスポーツクラブや公民館などでヨガを続けているそうで、「ヨガスタジオ」でヨガをする人たちは世間一般からすれば”かなりヨガっぽい人”ということになるのかもしれません。

ヨガが生活の中にある人にとってはFacebookのプロフィール写真がヨガのポーズだったり、玄関にガネーシャ(象の姿をしたインドの神様)の置物があったり、家でマントラ(ヨガで唱えるお経のようなもの)がBGMとして流れていたりすることはまったく普通のことです。もちろん私もそう。あたりまえのことすぎて、そんな状況が変だとか普通じゃないだとか思わなくなってしまっています。多くの”ヨガ好き”なみなさんにとっても、きっと同じだろうと思われます。

もちろん、プロレスが大好きな人の家にプロレスラーの写真が飾ってある、とかクルママニアのトップ画像がクラッシックカーだとか、それと同じレベルと言えばそのとおりなわけですが、ヨガ好きが高じて『ヨガの先生』となった場合には、”趣味でヨガが好き”であるだけではダメで、ほかの誰かにヨガを受け入れてもらえるような努力をする必要が生じてきます。要は、自分の”ヨガ好き”を全面に押し出しすぎることは”ヨガを知らない人”には実は逆効果で、ヨガを受け入れてもらうことは難しいのではないか、ということ。

現在、ヨガスタジオが全国で700軒、スタジオ1軒に10人のインストラクターが在籍するとして7000人のインストラクターが必要とされます。一方、全米ヨガアライアンス200時間の資格保有者は27000人。やはり、インストラクターの資格を取っても活躍の場が足りていないのが現状と言えるでしょう。

そうしたときに、これからヨガインストラクターとして生計を立てていきたい人がなにを考えなくてはならないか。 そんな話しを濃いメンバーで語り合いました。

やはり、個人事業主としての自覚を持つ以前に社会人としての意識を強く持ち、これまで身についているはずの人としてのベースを見直すこと。約束は守る、期日を守る、人にやさしく自分には厳しく、そこをクリアした上で、自分の持つ強みはなにかを考えること。

ヨガインストラクターもフィットネスインストラクターもトレーナーも、人生の早い段階で独立・自分で仕事をまわしていく必要が出てくるケースが少なくありません。職業人としての経験なく個人事業主となるケースもしばしば。自分の仕事のスキルを上げる、インプットを増やす、それ以前に社会人としての自分を見直すこと。その上で謙虚に学ぶ。さらに幅を広げていく。

私が接するヨガインストラクターにしてもトレーナーにしても、ものすごく勉強していることを感じます。ものすごく貪欲に。アウトプットの機会は足りているのだろうかと心配になるほど。それぞれの業界自体がより大きく成長し需要と供給のバランスを上手く取っていけるよう、これからもさまざまなお取り組みをしていきたいと思っています。

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