妊娠中の腰椎骨盤痛 低減にむけた取り組み@米国整形外科学会
米国整形外科学会(AAOS)から、妊娠中のホルモン変化により引き起こされた腰椎骨盤痛を低減するための、妊婦さん向けの運動方法が報告されていたのでご紹介します。(Journal of the American Academy of Orthopaedic Surgeons 2015.9)
妊娠中はホルモン分泌の大きな変化によって靭帯の弛緩が起こり、正常範囲をこえて関節可動域が大きくなりすぎてしまう可能性があることはよく知られています。また、妊婦のうち腰椎骨盤痛を経験するのはおよそ2人に1人ですが、この原因は靭帯の緩み、体重の増加、重心の変化などにより腰部=腰椎の弯曲が強くなり、骨盤が前に傾く=骨盤前傾 してしまうことで引き起こされるとされています。
また、胎児が成長するにつれて子宮自体も大きくなり子宮重量も増加し、弯曲が強くなった腰椎と骨盤に過度の負荷がかかることで腰痛が生じますし、子宮を支える円靭帯が引き伸ばされることで骨盤まわりの痛みがでてきます。
著者らは、「腰痛と骨盤帯痛の予防や軽減には、妊娠前と妊娠中の運動が効果的」と指摘し、医師の診察を受けてから始めることを推奨しています。
この論文がおすすめしている腰痛や骨盤帯痛を低減するための運動方法については、これまでも言われているような一般的な運動です。そこにプラスして腹帯で支える、マッサージ、アロマなどについても言及されているこの論文ような報告は、ばりばり西洋医学の論文ではそれほどよくあることではありません。
まとめると
【妊婦におすすめする運動】
【妊婦への教育】
妊娠中にできることはみなさんが思っているよりも多い。そう言えるような論文でした。周産期における運動に関するガイドライン作成の参考文献とさせていただきます。