『春来草自生』ふたたび
名古屋での講義を聞きに来てくれた整体師の男性がいらっしゃいました。朝から夕方までの講義に、ときに笑いながらときに頷きながら、問いかけにも前向きに応じてくださるとても話し甲斐のある方でした。
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2013年4月のBlogより
私たち医者の世界では、「この勉強がしたい」「これを研究したい」「その手術がしたい」なんて言えるようになるには少なくとも15年の年月が必要で、とにかく目の前の出来事を滞りなく終わらせていく技術が必要です。
私の大学院の研究テーマに関しても希望なんて聞かれることもなく、大学院に入った時点で欠員が出ていた卵巣がんのチームへ配属となり、カルテ庫でホコリまみれのカルテをめくったり、1日に1600枚ものプレパラートとにらめっこしたりする日々をおくりました。性格的にも合っていたのか、その時代はその時代で楽しく時を過ごし、ようやく好きな女性スポーツ医学の勉強や研究ができるようになったのがここ数年。
ヨガに関しても、まさに恋をするようにアシュタンガヨガにはまり、練習を繰り返していたころ。気がつけばケン先生に師事し、TTCを終えていました。さらに、当直室にまでヨガマットを持ち込んで練習していた私にむかって助産師さんが放った一言「先生、もうちょっと役に立つヨガを勉強してきてよ」 これをきっかけにマタニティヨガを学び、趣味が仕事の役に少しだけ立つようになりました。
今ではヨガと医学的な知識をからめてお伝えすることで、女性のカラダが「ダイナミックに変わっていく」ことを受け入れてもらえるようになったり、女性プロアスリートのパフォーマンスアップに役立てたり、私の思いをいろいろな方にお届けできるようになってきたかな…と感じています。
『春来草自生』
春の訪れを知ると 草は自ずから育っていくように、準備ができたころに物事は動きます。
医者としての下積みがきちんと終わったころに好きな分野の仕事がやってくるし、ほどほどの経験を積んだころにヨガをお伝えする機会に恵まれます。
先のことを思い煩う前に、目の前の今にフォーカスすること。
これこそが「もっともっと楽しむ方法」であり、「もっとも楽しいこと」だと思います。