健康であろうとする人が健康である理由
厚生労働省による「国民健康・栄養調査 2014年(平成26年)」が発表されました。私も健診に携わる者として、健診の受診の有無と生活習慣の状況などを把握しておく必要があります。この報告によると、過去1年間に健診を受診していない人は受診している人に比べ、生活習慣や健康に関連した指標が良くない という結果となっているようです。
健診とは健康診断、健康診査、人間ドックを指しており、がんのみの検診や妊産婦健診などは含んでいません。過去1年間に健診を受診していない人の割合は男性27.8%、女性37.1%であり、私が予想していたよりも多くの人がなんらかのかたちで健診を受けていたという結果でした。特に女性の場合、健診がカバーできている層というのは自分で仕事している人、配偶者が勤める勤務先にカバーされている主婦の方がほとんどで、お仕事をしておらず、かつ配偶者の勤務先にカバーされていないみなさん+個人事業主のみなさん では、なかなか健診というものを受ける機会もモチベーションもないのが現状でしょう。年代別に見てみると、やはり女性の30歳代の未受診率がもっとも高く、46.7%にのぼりました。
外来でお話しを聞いていると、最後のお産以来婦人科にかかっていなかった、というお仕事を持たない女性が少なくないのが現状です。正直、さもありなん とは思います。お産後、一か月検診が終わってもう大丈夫と言われたあと、乳児をかかえ、上の子がいたらさらに手がかかり、健診どころじゃあないですよね。
お産以来30年ぶり!なんていうつわものが来られて、運よく 子宮卵巣ともに何もない、なんてことはもちろんあります。でもそれは本当に「運よく」30年が過ぎた というわけです。できることならギャンブル的な30年の人生を過ごすのではなく、健康であるという安心を手に入れつつ、もしくは未病の状態での早期介入(生活習慣への取り組みなど)によって未来の健康を手に入れつつ、健診による言わば「あたりまえ」に健康な30年を過ごしていただきたい。これが健診に携わる者の願いです。
興味深いデータがありました。健診を受診していない方は受診している方に比べ、習慣的に喫煙する人の割合が高く、運動習慣のない人の割合が高く、肥満者の割合が高く、血圧の平均値も高いというデータです。つまり、健康であろうとする人は生活習慣も健康に近い選択であり、かつ定期的な健診を受けるという選択もしている ということ。ここがまさに 健康であろうとする人が健康でいられる理由なんだろうと思います。やはり、健康でいるということはいくつかの選択肢の積み重ねの上に成り立っている、そう言えると思います。
今年のことは今年のうちに。気になることはきちんと終えて、気持ちよく新年を迎えたいですね!