支えあうもの
4月 新学期を迎え、新しい環境、新しい人との出会い、新しい自分にワクワクする時期。
私自身もこの春、みずから選んだ職場で新しいチャレンジをさせていただくこととなりました。
大学の医局に所属していたころは、大学病院、大学付属病院、関連病院間での異動はわりとこまめにあり、私のような中堅の世代ですと2~4年に一度は勤務先が変わるという、ある意味過酷な条件での勤務でした。
同じ医局に所属しているDrが勤務していますので、Drに関してはほぼ顔見知りですが、私たち医者にとって非常に重要な存在である看護師さんたちとは、勤務先が変わるたびに新しい人間関係を築いていかなければなりません。幸いなことに私は、とても恵まれた出会いばかりを経験させていただいてきました。ありがたいことに、ご一緒させていただいた多くのNsが私の良いところを伸ばし、良くないところを理解しようと努め、フォローし支えてくださいました。そのおかげで、多くの患者さんに、私なりに納得のいく医療を提供させていただけたと思っています。
新しい職場に参画させていただくにあたり、初心を呼び起こすため、今日PCに向かっています。
私が常日頃 思っていることは 「医者はひとりじゃ何もできない」 ということです。
私は産婦人科医ですので、たとえば子宮がん検診。左手でクスコという器具を持ち、右手で採取用のブラシを持ち、子宮がんの検査を行います。クスコとブラシを持った時点で、両手はふさがるわけです。検体を採取したブラシをプレパラートに擦りつけたり所定のボトルに入れたりするためには、最低もうひとつの「手」が必要となります。
その「手」となってくれるのが、Nsをはじめとするコメディカルのスタッフです。
病院やクリニックという組織は、悩みをお持ちの患者さんを中心に、Dr、Ns、クラーク(Nsの業務を手伝う)、臨床検査技師、放射線技師、薬剤師、医療事務スタッフ などなど多くの職種が患者さんを取り巻き、悩みを解決の方向に向かわせることにより患者さん自身を少しでも良い状態へ変えていくことを目的としています。
そのためには、コメディカルがみな同じように責任感と目的意識を感じながら、支えあうことが必要です。患者さんのゴールをともに目指し、到達できなくとも近づけるようチームで努力していける、そんなスタッフ間の人間関係を築いていこうと思っています。
それぞれがそれぞれの職務を 誇りと責任感をもって果たし、なによりも大切なコミュニケーションを絶やすことがなければ、目標とする信頼関係は自然とうまれてきます。そんな中で、患者さんへのよりよい提案ができるようになるのではないかと思います。
私が、このような考え方をする医者になれたのは、医者として幼いころ名古屋での研修医時代~5年間を支えてくれた中部労災病院(現 独立行政法人 中部ろうさい病院)時代の同期、たくさんのNs・助産師仲間、コメディカルの仲間、他科の先生方、選択科を迷っていた私を産婦人科医に導いてくださった恩師 のおかげだと思っています。心から感謝しています。
遠く離れてはいても、目指すものは同じ 「患者さんのよりよい明日のために」。
微力ではありますが、邁進していく所存です。