『乳がん検診』講演会

イーク表参道で、聖路加国際病院 ブレストセンターの吉田 敦先生による
『乳がん検診について』の講演会が開催されました。

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たくさんの熱心な方にお集まりいただきました。

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乳がん検診にはマンモグラフィと超音波検査がもちいられます。
30歳代では、マンモグラフィで得られる情報による利益よりも被曝によるリスク(不利益)の方が高いことが多いそうです。
日本人における乳がん罹患のピークは49歳から50歳という疫学から考えても、若年者にはマンモグラフィよりも、被曝のない超音波検診を勧めるという方針が乳がん学会でも決定したとのこと 。
ただし、遺伝子異常の家系の方については慎重な対応が必要なようです。
日本人女性の乳がん発がん率は7%であるのに対し、アンジェリーナ ジョリーのニュースで知られるようになった BRCA1/2 遺伝子変異を持つ方の乳がん発がん率はなんと、45〜84%もあるそうですから。
また、超音波による乳がん検診について。
施行することによりがん発見率が向上するのは明らかですが、線維腫など 見つからなくても良いものまで見えてしまうところが欠点だそうです。
『疑い』所見が増えることにより、マンモグラフィの3倍も 生検による精査が必要になってしまうとのこと。
『精密検査』を勧められた受診者のストレスを検討したスタディでは、
10000人の検診受診者の中で、要2次検査対象は620人、
その中で、本当に乳がんに罹患している人は23人だそうです。
10000人の受診者の中で 600人が結果的には乳がんではなかったのに要精査と判定され、
ストレスを抱え 悶々とした日々を過ごす計算となります。
それでも、早期発見できれば非浸潤癌の状態で、生命に直ちに関係するものではないケースが多いといいます。
早期発見はしたいけれど、偽陽性率も思ったよりも高い。
どの程度、積極的に乳がん検診をおすすめすればいいかについては
なかなか線引きの難しい、デリケートな問題なのかもしれませんね。
Benefit vs Harm を常に考え、それぞれのリスク、状況に合わせた検診を選択していくことが大切で、
受診者が感じるかもしれないストレスがあることを忘れずに対応しようと思いました。
乳がん検診は外科、なかでも乳腺外科の担当分野であり、私の専門外ではありますが、
婦人科にご相談いただくケースも少なくありません。
最小限+α の知識を身につけ、私にできる範囲でお応えしていきたいと思います。

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