抗加齢医学会専門医資格更新 勉強会
抗加齢医学会専門医 資格更新のための勉強会に来ています。大好きなこの勉強会、毎回多彩な専門分野の第一人者が、その専門分野ではない私たちに理解できるような難度で講義をしてくださることが本当にありがたく、年に数回しかないこの機会をなるべく活かすようにスケジュールに組んでいるほど。
今回の興味深い講義のうち、最も強烈なデータを見せていただけたのが慈恵医大 浦島充佳教授のデータ【ビタミンDの摂取はインフルエンザ感染を予防する】でした。浦島先生は私が慈恵医大大学院時代に関わったいくつかの論文のうち、博士論文となった卵巣がんの抗がん剤耐性に関する遺伝子のメカニズムにおける研究で、データ解析のお手伝いをいただいた3人の恩師のうちのおひとり。普段からちょこちょこやり取りはありますが、近年の浦島先生の研究成果をじっくりお聞きする機会はなかったため、やはり素晴らしい研究者でいらっしゃることを再確認しました。
1日1200IUのビタミンDサプリメント投与により、インフルエンザを含む急性気道感染症が予防し得た
・ビタミンDの連日投与 or 毎週投与 により、急性気道感染症を20%予防し得た
・ビタミンD不足がある人に投与すると、70%予防し得た
・ビタミンD不足がない場合でも25%を予防し得た
このデータを掲載した論文は、世界五大医学雑誌のひとつであるBritish Medical Journal(BMJ)から12月1日にアクセプトの連絡が来たばかりの、ほやほやの論文となります。(世の中的には2013年ころからwebニュースなどで取り上げられていました)日本では季節的にインフルエンザの流行が報道されますが、世界的には年間256万人が急性気道感染症で命を落としているそうです。そう考えると、日本のみならず世界で役に立つ研究と言えるでしょう。
また浦島先生の先行研究として、ビタミンDが不足している人はがん、心疾患、脳梗塞、パーキンソン病のリスクが高まり、さまざまな機能の低下をもたらすことが報告されています。ビタミンDは紫外線に当たると体内で合成されますが、日本人女性の3人に2人はビタミンD不足、4人に1人は欠乏というデータがあります。紫外線が弱い冬場は、特に意識してビタミンDを摂る必要があるでしょう。
私自身は2015年ごろからビタミンDについて、かなり注目してきました。ビタミンDは骨だけじゃないですね。これからもたくさん学んでいきます。
そして、今回の浦島先生の論文のように、多くのみなさんの生活に役立つ論文を、わかりやすい形でみなさんにお届けする仕組みを準備しようと思っています。どうぞお楽しみに!