女性トップアスリートの低用量ピル使用状況

今日は銀座でのお勉強会 ウィメンズヘルスケアセミナーに行ってきました。

講師は国立スポーツ科学センター(JISS)で婦人科を担当しておられる能瀬さやか先生。JISSでお会いして以来の再会となりました。『女性トップアスリートの低用量ピル使用状況とその有用性』という、まさに私にとって、もっとも興味のある話題のひとつでした。

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現在、女性アスリートにおける低用量ピルの役割はとても大きいと考えられています。ドーピングマニュアルにも抵触することのない薬剤であり、アスリートのパフォーマンスを高めるために上手に使われているケースが増えていくことがのぞまれます。かつ低用量ピルもどんどん進化していますので、新しい情報をアタマに入れていく必要があります。

2011年からの1年間にJISSを利用した女性アスリート約700名に対して行われた、低用量ピルの使用状況に関する報告でした。

JISSを使用する女性トップアスリート683名のうち、コンディション調整目的に低用量ピルを普段から使っている選手は2名(0.3%)しかいないそうです。使用していない理由は、低用量ピルでコンディション調整できることを知らないという現状があるそうです。
JISSを利用できるアスリートは、オリンピック強化指定選手もしくは各種競技団体強化対象選手に限られますので、日本のアスリートのまさにトップクラスの方々ですらこの状況であることを知り、愕然としました。おそらくこの2名のうち1名は、私が処方を開始した選手だと思われます。

コンディション調整目的での月経コントロールに関するアンケートでは、月経移動をしている選手が6.1%しかおらず、驚くほどの低さでした。さらに驚くべきことは『月経移動を考えたこともなかった』と答えた選手が66.3%! ドーピングに抵触するのでは?という不安がある選手と、月経移動ということができること自体知らなかった という選手に分かれるそうで、いづれにせよ情報提供の不足をまざまざと見せつけられた感じがします。

ドームがサポートしている女性プロアスリートは、私からの情報提供によりかなりの率で低用量ピルを有効に使用しています。正しく情報をお伝えすることさえできれば、アスリートは自分の責任で最善の選択をします。

これからJISSでは、低用量ピルによるパフォーマンスへの影響などを調査していくとのことでした。ドームでは、この検討をすでに行っており、2年分の蓄積はありますが、なにせ対象となるn(検討対象者数)が少ないためデータとすることができません。

JISSでは多くの対象となるアスリートを集めることができますので、今後の検討結果を楽しみにしたいと思います。またドームでも、オリジナリティの高い検討を続け、スポーツ社会へ情報を還元できるよう努力してまいります。

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