落合和彦教授 退官記念祝賀会
慈恵医大で私を育ててくださった、大好きな落合和彦先生が 慈恵の教授を退官され、教授退官記念祝賀会が開催されました。大きな会場を埋め尽くす医局員と近隣大学のゆかりの先生方、そして奥さま、さらには青森でアナウンサーをなさっているお嬢さんが司会を務める、という、なんともスペシャル かつアットホームな会となりました。私にとって落合先生は「恩師」と呼ぶにふさわしい、心から尊敬する先生です。先生の近くにいつもいたからこそ、教えていただけたことは数知れず。私を、一人前の産婦人科医に育ててくださった先生と言っても過言ではありません。
先生の慈恵ヒストリーを、懐かしの写真で振り返るコーナーでは思い出があふれすぎて勝手に涙ぐみ、写真を見ながらこのメンバーの中になぜ私がいないのかと憤ってみたり。実は超ご近所住まいだった先生。先生はいつも、朝7時に病棟にお越しになりました。そんな先生を迎えられるよう私は毎日、先生より早く病棟に行きました。先生と一緒にお仕事をさせていただくようになって最初の手術検討会で、画像診断でも術前診断つきかねた症例がありました。「手術してみます」と言った私に、「本当に見切り発車でいいのか?」と厳しくも的確な意見をくださったこと。今でも鮮やかに覚えています。これが私にとっての落合先生とのスタートでした。それ以降私は、落合先生だったらどう考えるだろうか? 落合先生だったらどんな検査が必要だと考えるだろうか? 落合先生だったら誰・何科のヘルプを頼みたいだろうか? と、頭をめぐらすようになり、それが先を先を読む診断・治療のくせとなり、結果的に着実な成長につながったと言えます。
バレンタインデーにはキットカットのチョコレートで落合先生と私たちの写真でオリジナルのデザインを作ってもらい、女子の後輩と一緒にプレゼントしたり、医局の飲み会では先生を巻き込んで仮装して「ポニョ」を歌ったり。どれだけ頑張っていても当然足りないところはあり、たまの雷を落とされて屋上で泣いたなぁ とか。先生との思い出はありすぎてあふれてきます。臨床家としてすばらしい功績を残されたことは言うまでもありませんが、先生のところへやってきて、その後きちんと大きくなって巣立っていくたくさんの先輩、同僚、後輩を見ると、心からの愛をもって接してくださった落合先生だからこそ、これだけ下が懐き、今に至るのだろうと思わざるを得ません。
これは、私が先生の元を卒業するときに先生がくださったカードです。
「鷹のような目を持ち、天使のような手を、そしてライオンのような強い心をもった外科医であれ」
そんなメッセージ。今でも大切な宝ものです。
目の前の人をきちんと見て、どんな小さなことにも手を抜かずに診療する、という医者にとって一番大切なことを身につけさせてくださった大好きな大好きな落合先生。本当にありがとうございました。