言葉にするということ
今日イーク表参道に、子宮体癌の手術後をフォローアップしている方がいらっしゃいました。2年3か月まえに私が手術した方です。術後2年間は月に1回、2年を経過した今は2か月に1回、私のもとへ通ってくださっています。当時いた病院から離れた私を追って、今はイーク表参道の患者さんです。
手術前に診察をしたのも私であり、入院前を含め、入院中から退院後の外来まで、もう何十回も会っている方です。そんな方から、今日あらためてお礼の言葉を頂戴しました。
『私、手術が終わって麻酔からちょっとだけさめた時、先生から 膀胱大丈夫だったよ! って言われたことを鮮明に覚えているんです』
確かにこの方のケースでは、術前に子宮の前側つまり膀胱へのがんの浸潤を心配していました。それできっとこのような言葉を彼女に投げかけたんだろうと思います。
そんな話題のあとに、私は先生に、からだのことを診てもらっているだけじゃなく、こうやって2か月に一回お会いして元気をもらっています。診察してもらえて、手術してもらえたのが先生で、ほんとうによかったと思っています。ありがとうございました。右の目だけちょっとうるっとさせて、そうおっしゃいました。
私たちは生活していて、ありがたいな と感じてはいても、なかなか面と向かって『ありがとうございます』と言葉にすることは少ないと思います。照れくさかったり、タイミングを逃してしまったり、時間がないことを理由にしてしまったり。ありがたいと思ったら、ありがとうを伝えること。ちゃんと言葉にして伝えるということ。とても大切なことだけれど、なかなか常に行えている人は少ない気がします。
彼女からの気持ちは、ちゃんとした言葉で私にしっかり届きました。医者をやっていてよかった。心からそう思いましたし、今の私の環境で私にできることをこれからもっと考えていきたいと思わされました。
私は、私から感謝の気持ちをお伝えするときに、『ありがとうございました。感謝しています。』そこまで言葉にすることが多いです。そこまで言葉にすることで、私の気持ちを正しく伝えられる気がするから。
2013年が終わる前に今年お世話になったと思う方へ、気持ちを言葉にしてみませんか。自分がほんとうに伝えたかったこと、その思いの強さ、そんなものをご自身でも確かめられるのではないかと思います。